第99回第2言語習得研究会(関東)

日時: 2018年2月17日(土)  13:00~ (開場は12:30となります)


◆ 場所: お茶の水女子大学 共通1号館 301
★ 会場にご注意ください!
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg

   土曜のため、正門(東門)しか開いていません。

   正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。

*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/help/campusmap_l.html#no1(5番の建物です)

 

◆ 事前申し込み:不要

 

参加費:1,000円

今年度初めてご参加いただく方にいただいております。6月,10月の研究会にてすでに年会費をお支払いいただいた方は、参加費は不要です。)

非会員の方も同様に受付にて1,000円をお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。

 

◆ プログラム

【研究発表】13:00-15:00
1. 13:00-13:40
李文鑫
「概念メタファー理論に基づくコロケーションの誤用分析<思考>メタファーを例に
2. 13:40-14:20
大隅敦子
「『CEFR(欧州言語共通参照枠)尺度』を日本語に適用する場合の能力記述文の順序性に関する研究」
3. 14:20-15:00
黄永熙
「第二言語ライフサイクルにおける日本語の存在動詞」
―20分休憩―
【講演会】 15:20-16:20
講師 菅谷奈津恵先生 (東北大学)
「言語教育から見た盗用問題
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【発表要旨】
◆研究発表
1. 「概念メタファー理論に基づくコロケーションの誤用分析―<思考>メタファーを例に」
李文鑫(り うぇんしん) 筑波大学 大学院生
【要旨】
本研究では、日本語と中国語の概念メタファーの共通点・相違点を明らかにし、日中概念メタファーのズレがコロケーションの誤用を引き起こす原因であることを明らかにした。<思考>メタファーに関して、日本語でも中国語でも<考えは機械の動き>という上位概念メタファーがあるが、その下位概念メタファーとして、日本語では<頭は機械>があるのに対して、中国語では<脳は機械>があることを明白にした。さらに、大型学習者書き言葉コーパスのデータを分析し、学習者が自然産出したコロケーションの誤用原因は日中両言語における概念メタファーの写像のズレによることを明らかにした。母語の<脳は機械>の写像に対応する誤用、目標言語の<頭は機械>の写像と対応する誤用、上位概念メタファー<考えは機械の動き>に対応している誤用に分類し、今まで解釈できなかった母語の非直訳による誤用の原因を明らかにした。
2. 「『CEFR(欧州言語共通参照枠)尺度』を日本語に適用する場合の能力記述文の順序性に関する研究」
大隅 敦子(おおすみ あつこ) 国際交流基金日本語試験センター 研究員
【要旨】
CEFRは欧州言語を対象として、外国語能力を記述する能力記述文を集積、尺度化し、6レベルの参照枠組みを示している。本研究はCEFR尺度、中でも「読む」尺度を日本語に適用する場合の妥当性検証を目的として実施した。North(2014:44)は日本語、中国語など欧州域外への適用には実証が必要と述べているが、具体的な実証研究は少ない。大隅他(2006)は日本語能力を表す能力記述文を作成して1068名に調査し尺度化を行ったが、特に「読む」尺度の順序性でCEFR尺度と対応しないものがあった。
今回は日本語学習者に大隅他(2006)と同じ「読む」能力に関する能力記述文を提示し、難易順に並べる課題および終了後にインタビューを実施した。能力記述文の順序性はCEFR尺度と一部対応しておらず、学習者のインタビューにより「漢字・漢語」「待遇表現」「書き手との関係や文脈共有」などが関係していることが窺えた。
3. 「第二言語ライフサイクルにおける日本語の存在動詞」
黄永熙(ファンヨンヒ) 漢陽サイバー大学校 副教授
【要旨】
韓国人帰国青少年の姉妹二人が日本滞在中の第二言語環境で習得してから、10年以上も保持しつつ衰退している日本語の存在表現に見られる言語的諸特徴を記述する。
談話や作文の縦断的調査、翻訳式調査文調査の分析から、以下のことが分かる。
(a)帰国して1年後に、日本語の使用がなくなる。
(b)存在動詞はイルとアルが二軸をなしながら、日本語との接触度の低い妹に非標準的なアルへの移行がみられる。
(c)習得期に西日本地域の方言形にも接触しているが、オルは残りにくい。
(d)「イル・アル・ゴザル」の姉タイプと「アルへの移行」の妹タイプに分けられる。
(e)要因として「年齢」「化石化」「単純化」が考えられる。

 

◆講演会

言語教育から見た盗用問題 」

講師 菅谷奈津恵先生(東北大学)

【要旨】
2014年の文部科学省による研究倫理ガイドライン改訂を受けて、各大学では規定や組織、教育制度の整備に取り組んでいる。講師の所属校においても研究倫理に関する小冊子2点を開発し、今年度の初年次生に配布を行った。盗用については当教材中でも繰り返し注意喚起が行われており、大学教育の信頼性に関わる深刻な問題と認識されていることがうかがえる。だが、盗用の原因は倫理観の欠如だけではなく、引用ルールの知識不足や言語能力の不足も大きく関わっている。特に第二言語の場合には、読み書き能力の不足から盗用とみなされる書き方につながりやすい。さらに、各専門領域でレポートや論文指導を行う教員が学生の困難を察知できるとは限らず、引用の問題点が見過ごされフィードバックのないままという場合も多い。本講演では、言語教育の観点から盗用問題を検討し、学生のレポート・論文執筆を支援する際にどのような点に留意すべきかを議論する。